下高井戸シネマで「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観る
現代私はイギリス映画が好きです。
イギリス映画と一口に言っても様々な内容、予算、知名度のものがあるわけですが、正義対悪の壮大なバトルではなく、イギリスにいる(いた)普通あるいは少し変わった立場の人が繰り広げる物語、みたいな作品が好きなのです。
今日は、「わたしは、ダニエル・ブレイク」(監督:ケン・ローチ 2016年イギリス公開)という映画を観ました。
昔ではなく今イギリスで実際に起こっている貧困、そして苦しい立場の人々を官僚的に処理しようとする仕組みについて描いた作品です。
監督は、2014年の作品を最後に引退を表明していたももの、この問題を描かねば、と引退を撤回し、この作品を制作したそうです。
このような貧困が起こっていることを伝えたいという監督の思いが、飾り立てたり比喩表現に頼ったりすることなく、かと言ってドラマとしてもしっかり面白い形で、グイグイ伝わってきました。監督の思いに応える役者さんのお芝居も「演技」だなんて思えないほどで、ラストは涙が出ました。
私自身も、富を独占しようとして誰かから搾取する仕組みの歯車かもしれない、しかも歯車であることを自覚していながらそれを止めようとしない。そうかと思えば、私だって、いつまで仕事(=収入)がある状態でいられるかわからない。
そんなことを思いました。
下高井戸シネマさん、いつもいい映画を上映してくださりありがとうございます。