映画「輝ける人生」、すごく良かったです。

輝ける人生」という映画を観てきました。

 

kagayakeru-jinsei.com

 

あらすじ(ホームページなどに掲載されている程度のネタバレあり)

 

主人公・サンドラはイギリス・サリー州に住む主婦。35年連れ添った州の警察本部長の夫が、ナイトの爵位を与えられ、そのパーティの日に、夫に以前からの愛人がいたことが判明します。家を出たサンドラは、10年会っていなかった姉のビフが住むロンドンのアパートに転がり込みます。

 

以下、多少のネタバレありです。

映画鑑賞前の情報をシャットアウトされたい方は、ご覧になるのをお控えくださいませ。

 

 

 

姉妹といえど、10年会っておらず、その間の生きざまはまったく違います。

サンドラの、お高くとまった響きが感じられる、上流階級の人っぽいアクセントが印象的です。(でも、嫌な感じはしませんでした)

一方のビフは、60歳近く?になってもいろいろな男性(あるいは女性)と遊んだり、「いいところのまじめな奥様」だったサンドラが目を丸くするほど、自由奔放。

 

ビフはサンドラを自分が通う高齢者向けのダンス教室になかば無理やり連れていきます。

 

そこで起こった出来事の詳細の説明は控えますので、サンドラとビフ、ふたりの女性がこれまでどんな選択をしてきたか、そして今どのような決断をするか、ご興味のある方はぜひ映画館で!

 

(注)この先、思いっきりネタバレします。

 

ビフのお葬式、集まった友人たちは黒い喪服ではなく、思い思いの服装をしています。

遺骨は、彼女がよく泳いでいた川に散骨されます。

私はそのシーンが好きです。さよならの儀式なのに、寂しすぎなくて、彼女が「意思」という形で生きているようで。

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輝ける人生

 

 

このブログについて、私について

はてなブログのアカウントを取得したものの、映画・お芝居鑑賞記、音楽鑑賞記録・・・?といった感じで、やや使い方を迷走しておりました。

 

今このタイミングで用途を考え直し、二十ウン年間ずっと、イギリスという国のことが大好きだった、今も大好きなことを書き綴るブログにしようと思います。

 

初めて英国に行ったのは、大学3年生の時。留学中の友人に会うためにてイギリスのカンタベリーという街、そしてロンドンを訪れたときでした。

 

それ以来、9回ほど行っています。

二十ウン年で9回、多いといえば多いですが、永住されている方や仕事で行く機会のある人に比べたら、かの国のことを全然知らない部類に入ると思います。

 

それでも私にとって英国が特別な国なのは・・・初めて行った外国なので、いわば「初恋」のようなものです。

 

英国のどこが好きか、と時々尋ねられることがあります。

「好きなもののどこが好きか」・・・答えが難しいこともあるのですが(笑)、しいて言うならば、以下でしょうか。

 

1.ガーデニングが国民的趣味とも言われている。普通の住宅街を歩くだけでも楽しい、そんなところが好き。

 

2.B&B(ベッドアンドブレックファースト。民宿のような宿泊施設。朝ごはんと寝室だけを提供する)が、手ごろな価格で、建物やインテリアもかわいらしく、ホスピタリティもあたたかい。

 

3.映画やテレビなどのコンテンツの海外展開に成功していて、日本にいても新たな魅力を目にする機会が多い。

 

4.ロイヤルウェディングEU離脱問題など、遠くから見ていても気になるニュースの提供に事欠かない。

 

5.何度訪問しても変わらないもの、変わっていくもの・・・そのバランスが私には心地よく感じられる。

 

というわけで、このブログは、「過去に英国に行った際の思い出」「日本で見た英国関連コンテンツ」について書いていくことになりそうです。

 

 

どうぞよろしくお願いいたします。

 

写真は、2018年6月にアイルランドに行った際にトランジットで時間があったのでロンドンの街中を少し歩いた時のものです。あぁ、愛おしい。

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映画『マイ ビューティフル ガーデン』

イギリス映画『マイ ビューティフル ガーデン』を観ました。

my-beautiful-garden.com

 

http://my-beautiful-garden.com/sp/index.html

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主演は、人気ドラマ『ダウントン・アビー』でシビル役を演じたジェシカ・ブラウン・フィンドレイ。シビル〜!シビルが一番好きだったよ。シビルとマシュー退場後は、『ダウントン・アビー』への関心も半減…というのは余談。

 

今回の映画では、その生い立ちから、無秩序なものが苦手な、図書館勤務の女性を演じていました。

 

ほか、こちらも人気のドラマ『シャーロック』でモリアーティ教授役のアンドリュー・スコットが、奥さんと死別した料理上手のパパ・ヴァーノン役で出演!

 

こ映画は現代のお話ですが、私がイギリスに生まれて始めて行った頃(※日本で平成が始まったばかりの頃のことです(笑))に「わあぁっ、外国だ、イギリスだぁ!」と感動した、あの夢見たいな世界観そのままの愛らしさがいっぱいでした。

 

※これから掲載する写真は、これまでに私がイギリス旅行で撮りためたものであり、映画とは関係ありません。

 

イングリッシュガーデン

隣に住む老人・アルフィーの庭に咲く、ハニーサックルやバラ、フォックスグローブ、ダリアなどは、イギリスの個人のお庭でも実際によく見かけたものでした。有料で公開している歴史的な建造物のお庭も、個人の家のお庭も、すばらしいものがたくさんなんですよね、イギリス。

 

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 食べ物

ヴァーノンが作るエッグベネディクト、煮豆、ブラックプディングなども、ホテルで食べる朝食の定番でした。※個人のお宅にホームステイしていた時の朝食は、シリアルやトーストだけ、が多かったかな。

 

建物 

住宅や図書館など、シャビーな、でも愛らしい建物が普通に大事に使われている様子も「Very British」。

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で、登場人物はみな、ちょっと変わっていて、でもチャーミングで、愛するなにかを大事にしている人々でした。

 

誰もが自分を覆う殻を持っていたり素直になれなかったりして、その殻を破るのに誰かが役に立って。そんな映画でした。

 

あぁ、またイギリスに行きたくなってしまったな。私にとっては、魔法が出てこなくても、あの国が夢、ファンタジーそのものなんだ。

 

 

 

 

 

下高井戸シネマで「わたしは、ダニエル・ブレイク」を観る

現代私はイギリス映画が好きです。

 

イギリス映画と一口に言っても様々な内容、予算、知名度のものがあるわけですが、正義対悪の壮大なバトルではなく、イギリスにいる(いた)普通あるいは少し変わった立場の人が繰り広げる物語、みたいな作品が好きなのです。

 

今日は、「わたしは、ダニエル・ブレイク」(監督:ケン・ローチ 2016年イギリス公開)という映画を観ました。

 

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昔ではなく今イギリスで実際に起こっている貧困、そして苦しい立場の人々を官僚的に処理しようとする仕組みについて描いた作品です。

 

監督は、2014年の作品を最後に引退を表明していたももの、この問題を描かねば、と引退を撤回し、この作品を制作したそうです。

 

http://danielblake.jp

 

このような貧困が起こっていることを伝えたいという監督の思いが、飾り立てたり比喩表現に頼ったりすることなく、かと言ってドラマとしてもしっかり面白い形で、グイグイ伝わってきました。監督の思いに応える役者さんのお芝居も「演技」だなんて思えないほどで、ラストは涙が出ました。

 

私自身も、富を独占しようとして誰かから搾取する仕組みの歯車かもしれない、しかも歯車であることを自覚していながらそれを止めようとしない。そうかと思えば、私だって、いつまで仕事(=収入)がある状態でいられるかわからない。

 

そんなことを思いました。

 

 

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下高井戸シネマさん、いつもいい映画を上映してくださりありがとうございます。

 

あのプリンセスが踊り、駆け抜けた一夜のおとぎ話:映画「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出」

私の初めての海外旅行はイギリスでした。

短い期間とは言え、日本語が通じない環境に身を置くなど生まれて初めて。

別に歴史的建造物でもなんでもない建物まで荘厳な街並みにぽ~っとしつつも、やたらと印象的だったものがあったのを覚えています。

 

それは、エリザベス女王チャールズ皇太子、今は亡き(当時はプリンセスであった)ダイアナ妃など、皇室の方々の顔写真のポストカードがお土産物屋で売られていたことでした。しかも、ダイカット(お面のように顔の形になっている)なんですよ。

 

日本の皇室に置き換えたら・・・ちょっと想像しづらいですよね。

 英国王室、体張ってるな、と当時20代だった私は思いました。

 

英国のテレビドラマや映画などには、しばしばご存命の皇室の方々が登場します。

 

この度鑑賞した映画「ロイヤル・ナイト 英国王女の秘密の外出」もそのひとつとなります。

 

1945年5月8日、第二次世界大戦において連合軍がドイツを降伏させた日、ロンドンで繰り広げられた市民のお祭り騒ぎに、当時まだ王女であったエリザベス(現在の英国女王エリザベス二世)とその妹のマーガレット王女がお忍びで参加した、という史実をモチーフにした物語です。

 

※この写真の後、少~しネタバレを始めます。

 

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姉妹の一夜の冒険のはじまり

護衛をつけられて外出した姉妹。父母が用意した“外の世界”に連れてこられるも、護衛が目を離したすきに妹が退屈なそこを見知らぬ男性と抜け出します。

 

姉のエリザベスはそれを追いかけるけれど、二人を乗せた別のルートマスター(赤いロンドンバス)は別の方向へ。バスで隣の座席に座っていた空軍の青年・ジャックが、身分を隠したままのエリザベスの道中を助けます。

 

時の王でありエリザベスの父でもあるジョージ六世のスピーチがラジオから流れたとき、「陛下万歳!」とありがたがるほかの市民と違い、ジャックは悪態をつき、店から追い出されます。

 

おなじみの「プリンセス物語」にさしこむ影と輝き

戦友の死を目の前で見た悲しみ、手柄は偉い人がもっていく理不尽、王室は一体戦争において役に立ったのか・・・ジャックの言うことに共感しつつ、それでもエリザベスの一生懸命さ、父母を思う気持ちにも寄り添いながら観ました。

 

町で戦勝を喜び大騒ぎする群衆も、ひとりひとりに目を向ければ喜んでいるだけではなく、大事な人との別れの悲しみ、とにかく終わってくれたことに安堵する気持ちなどが描かれています。ジョージ六世も、この先の世の中に対して決して楽観的ではないのです。

 

エリザベス・マーガレット姉妹がお忍びで・・・という史実は、あの「ローマの休日」のモチーフとなったとも言われています。また、王女様がお忍びで町に、というストーリーはディズニー映画「アラジン」などでもおなじみです。

 

なにより、日本人が思い浮かべるのはアレですかね。

パカラッ、パカラッ、パカラッ、パカラッ・・・

ジャジャジャー、ジャージャージャージャー

あちらは将軍様ですが。

 

言ってみれば既視感のある物語なのですが、見る物すべてが珍しいエリザベス王女の目線で・・・というだけでなくけっこう危険なロンドンにハラハラドキドキしつつ、ジャックの身も気になり、あぶなっかしいマーガレットもドキドキさせてくれます。姉妹が今回の外出で関わる市井の人々も、いわゆる「きれいな」立場の人ばかりではありませんが、それぞれに一生懸命生きる様が心に残りました。

 

映画の中で使われるグレン・ミラーダンスナンバーも、懐かしくも新鮮に聴こえ、よかったです。

 

現実のエリザベス女王は「国民に親しまれる王室」を目指していると言われています。

出展:

英エリザベス女王が在位記録更新 63年余、ビクトリア女王抜く 「国民に親しまれる王室」築く - 産経ニュース

 

 戦勝の日にお忍びで・・・というのは史実ながら、この映画自体はもちろん?フィクションです。このような史実・フィクション入り混じる愛らしい映画を私たちが観られる、ということも、エリザベス女王のサービス精神の表われかもしれませんね。

 

とても愛らしい「一夜のおとぎ話」でした。

 

最後に蛇足

映画というエンターテイメントについて語るブログで言及するのは不適切と感じられるかもしれませんが。

 

現在私が暮らす国では、このようなテーマの映画を観て感想を述べることを許されるぐらいの平和を享受できております。平和なのは当たり前ではない、そのありがたさを、何かにつけ噛みしめて日々暮らしていきたいと思います。